第1番目,
南関東直下型地震についてお伺いをいたします。
一つ,
南関東直下型地震に関する大綱の中で,震度6の烈震が予想される中に本県南西部の30市町村が入っております。南関東地域における地震として,
相模トラフ沿いの地震,房総半島沖の地震,
南関東直下型地震の3つが考えられ,
相模トラフ沿いの地震については,元禄地震,関東大震災など,過去,マグニチュード8級の非常に大きな地震が発生し,南関東地域に大きな被害をもたらしております。
知事は,2月5日,阪神大震災の被災地,兵庫県神戸市を視察され,傾いたビルや住宅,つぶれたビルや火災後の瓦礫の山,被災地のひどさに,本県も,もしも南関東直下型の地震に直面しても大惨事にならないような対策をする必要があると,
地域防災計画の見直しを言われております。
しかし,このような大地震が,世界屈指の大都市,首都圏を襲った場合の被害は,阪神大震災10兆円や,1923年の関東大震災,現在の価格で6兆円,復興に7年の時間をはるかに上回ると予測されております。でも,今のうちから首都圏に予防策を進めておけば,補強予算は,全壊した場合の新規建設に比べて2~3割の費用で済むと言われております。
国土庁が88年に公表した
南関東地域地震被害想定調査によると,最悪のケースで死者15万2,000人,
東海総合研究所の試算額は,被害額125兆円,復興費は190兆円を必要としております。
関東大震災のときは,政治は東京,経済は大阪の時代であり,今は,東京一極集中であります。災害対策の面からも諸機能を分散し,代替する機能を他の地域に育成することが必要と指摘されております。
また,当時は全く考えられなかった液状化現象への対策が,今後の地震への備えの重要なポイント。特に石油タンクが倒壊すれば被害は大きいため,液状化対策を施していないタンクを,来年以降,補強を石油各社が実施するとのこと。東京湾にはこの対象タンクが600基あり,総費用1,000億円を超えるとのことであります。
都庁を初め,最近の建築は鉄製ワイヤーが地中に埋め込まれ,揺れに強い構造になっているが,15年以上前の建物は,地中に
コンクリート柱を埋めて支える工法が主流であり,今からでも補強にワイヤーを使うべきと言われております。主要高速道や鉄道,災害時の指令塔や公共施設,重点拠点,幾らよく補強しても新設費の2~3割で済み,全壊を考えたならば早く対策をと言われております。
本県の対応,対策をお伺いいたします。
一つ,
ライフラインについてお伺いをいたします。
阪神大震災でだれもが痛感したのが,水道,ガス,電気,電話など日常生活を支える
ライフラインのもろさだったと思います。でも,大地震に耐える
ライフライン網をどのように整備するかは,大変難しい問題であります。水道,ガス,耐震性を高めようとするとコストが3割から4割高くなるわけで,厚生省が
関東大震災クラスの地震に耐えるとPRしている水道管の継ぎ目は,15年後の今日でも普及率は大都市で10%にすぎません。電気も,電線の地中化も,大震災を想定すると,地上線の敷設に比べ100倍ぐらい費用がかかるとの試算もあります。電話については,今度の震災では,NTTの伝送装置や交換機の故障,2,700本の無言電話。消防電話が麻痺してしまい,神戸市消防署では火災についても長田町からの無線で火災をキャッチしたという状況であったとのことであります。
今度の大震災による
ライフラインの被害状況は,水道,102万戸が断水,ガス,85万7,400戸が供給停止,電気,100万戸が停電,電話,28万5,000回線が不通,2月1日現在までに10万回線が復旧とのことであります。最も大切な水道については,本管と消火栓は大丈夫な工事をと言われており,電線の地中化,耐震用のガス工事,無線,有線,携帯を含めた通信,情報網の整備。県では,県南西部30市町村に
耐震性貯水槽や非常用井戸を設置する。また,同地域に県が食料を備蓄するとの考えのようですが,早急に整備をする必要があると思います。
一昨年の第2回定例会で私の質問に,
ライフラインの早期復旧の訓練,市町村と連携を保ちながら地震被害の防止に取り組む,と答えておりましたが,今まで,どのような訓練,市町村との指導取り組みをしてこられたか,また,今後,どのような対策をとられるか,お伺いをいたします。
一つ,阪神大震災の直後から,神戸市の被災地の医療機関で医薬品の不足が深刻な問題となっております。2月26日までに兵庫県医師会で調べた結果は,医師の死亡10名,医療機関4,178のうち約3,100は診療活動を続けておりますが,約1,000箇所は,全壊,半壊,被害を受けて休診しております。
一方,大阪の総合医療センターでは,震災の情報を素早くキャッチして早急にけが人を受け入れられるよう,50のベッドと5つの部屋を用意して
医療スタッフが待機しておりましたが,兵庫県からは11時間たっても一人のけが人も運ばれてこなかった,とのことであります。神戸市医師会ビルも緊急電話を設置しておらず,対策本部も設置は4日後であり,救急医療の立ち上がりがおくれたわけであります。
避難所約1,000カ所,21万人の避難をしている方々も含めると,
救援対策現地本部,
避難所救援センター50カ所の設置くらいでは,今後長期になるであろう診療活動を維持できないと思われます。長期になることを考え,近隣の医師会や医療施設の応援を得なければと考え,国指導,県指導の一刻も早い
広域医療体制の確立が望まれるわけであります。
特に厚生省は,国内初の災害医療の拠点となる国立病院,
東京災害医療センターの建設を進め,ようやく災害医療を本格化させようという矢先でありました。でも,対策の主眼は東海地震への備えであり,今後,南関東直下型や
阪神大震災等への早急な対応も考えなくてはならないし,施策も,と考えます。
医薬品の備蓄については,厚生省が
阪神大震災発生後,兵庫県を除く46都道府県を対象に調査をしました結果,大規模災害に備えて医薬品の備蓄制度があると回答したのは,東京,大阪,愛知,静岡を含め17都府県。残る29道県は備蓄制度がないとのことであります。自治体の外郭団体や地元医師会で保管している,東京,愛知,三重,京都。
医薬品メーカーや医薬品卸会社など民間企業と協定して備蓄制度をとっていると答えたのは,大阪,青森,長野など9府県。行政関連団体と民間とを併用が,埼玉,神奈川,山梨,静岡の4県など,内容は自治体ごとに差が大きく,例えば静岡県では,東海大地震によるけが人想定9万3,000人,消毒薬や包帯25万人分を専用の倉庫に保管しており,医薬品は卸業者と協定を結び,緊急時に供出してもらうようにしております。愛知では,量は通常の治療の2~3日分でございますが,4カ所の県立病院だけで備蓄しております。
有効期限のある医薬品をどれだけ置いておけるか,費用負担も含め難しい問題もあるでしょうが,各自治体の医務担当が防災行政上の優先順位が低いことがわかっており,災害時に医薬品を迅速に調達できるかどうか不安を残しております。
厚生省薬務局では,医薬品の備蓄コストをどう負担するかなど課題はあるが,今後は大災害に備えた医薬品の安定供給体制を整えるよう指導すると言っておりますが,本県の場合,緊急時,医療体制,
医療関係機関との連絡,連携,医薬品の備蓄については,今まで,今後どのようになさるか,お伺いをいたします。
一つ,建設省は,1月22日,阪神大震災で,発生直後から断水や停電,通信不能で,被害者,住民が非常に不便を来した状態を重視し,今後の
都市型地震災害対策の1つとして,備蓄,通信,
地下貯蔵タンク,発電,ヘリポート等の設備を備えた防災公園を大都市部に整備する構想の具体化を急ぐ方針を決めました。大規模な都市公園に,食料の備蓄倉庫,通信衛生施設,
地下貯水タンク,
自然エネルギーを使う自家発電,
防災情報センターも含め,災害時に広域避難場所としての機能を強化するのが目的。建設省は,昨年から5カ年計画で,新たな機能を持つ多目的公園の技術開発に取り組んでおり,防災公園はその構想の1つとのことであります。
全国の都市部の公園は災害時の避難場所に指定されており,阪神大震災で大被害が出た神戸市の場合,一人当たりの公園面積は,平成5年,14.8平方メートルで,全国平均一人当たり6.5平方メートルの2倍以上もあり,政令都市では最も広く,神戸市は,今回の大震災でこれを,避難場所だけでなく,比較的大きな14の公園には2,500戸の仮設住宅をつくるほか,ヘリポート,救援活動に当たった自衛隊の野営地など多くの救援対策に活用し,都市公園の持つ機能が発揮され,改めて見直されました。
このようなことから,建設省は,防災公園の技術指針を早期にまとめ,モデル公園をつくって,全国に普及させる方針とのことであります。
大都市圏の都市公園の整備については,国が用地取得の3分の1,照明やトイレ等には,施設建設費の2分の1を上限に,各自治体に補助する制度がありますが,備蓄倉庫など
防災関連施設などは補助対象にはなっておりません。
今回,創設が検討されている制度は,三大都市と政令都市,それに,
地震予知連絡会による
観測強化地域等の都市公園を対象に,食料,医薬品の備蓄倉庫や
耐震性貯水槽,放送施設,ヘリポートなどの防災施設を整備する場合には,国が2分の1を補助するという内容であります。
政府は,
都市計画審議会の検討を得て,都市公園法の政令を改正する方針とのことであります。貯水槽は約1万カ所設置されており,平成5年6月の政令改正により,都市公園に備蓄倉庫などの建設が認められ,現在までに約300カ所建設されておりますが,公園施設ではないことから補助対象ではなかったわけであります。
東京都と政令都市12のうち,食料の備蓄は4の都市がゼロであり,特に今回被害が集中した神戸市は食料を備蓄しておらず,被害者に対する食料や医薬品の提供のおくれ,大火災の際の水不足につながったと見られております。政府は,このような実態を踏まえ,大都市圏の災害に備えるため,都市公園での食料,水,通信基地,
自家発電システム等の施設の拡充を図るわけであります。
本県にも早々と,稲敷郡桜川村のように
災害用備蓄倉庫を建設し,水害や地震に対応している村もあり,本県でも県南西の都市部に防災公園をつくる考えがあるかどうか,お伺いをいたします。
一つ,阪神大震災では,一度避難した後,自宅に荷物を取りに戻り,生き埋めになるという被害を受けた例も多く,昨年の
ロサンゼルス地震では,建築物に立ち入りが可能かどうかを判定する専門家,
危険度判定士を制度化し,判定には法的強制力のある
立ち入り禁止の札を張り,二次災害を最少で食い止め,65人の死者で済みました。
今回は,
危険度判定士の制度のある静岡県,神奈川県の専門家と,19都府県から建築士のボランティア約300名を集め,危険度判定の専門家チームを編成し,神戸市職員の案内で現地に入り,危険で
立ち入り禁止,赤の張り紙,要注意,黄色,被害なし,青色の,3段階の判定作業を行っているとのことであります。
2月末日までに,4階建て以上のアパート,マンション,すべての共同住宅を対象に,3,840棟の調査を終了し,
うち立ち入り禁止1,104棟,29%,要注意749棟,20%,被害なし1,987棟,51%となっておりますが,法的に強制力がないため,市職員や警察官と押し問答。また,判定を無視して出入りしたり,住み続ける人も少なくないとのことであります。
建設省によると,一足早く制度化したロサンゼルス市では
立ち入り禁止の判定には法的強制力があるが,日本では判定はあくまで住民への情報提供の1つ。法的強制力はないので,本人が納得した上で従ってもらうほかにはない,と建設省では言っております。
現在,
建築物危険度判定士を組織化しているのは,静岡県,神奈川県の両県だけで,静岡県に約5,300名,神奈川県に4,500名が登録されております。静岡県の場合,東海地震に備え,平成3年に,1級,2級木造建築士に1日講習を受けさせて,判定士と認定いたしました。第1陣25名,第2陣25名,2月末日で150名が神戸市で活躍をしております。
静岡県建築課では,最終的には,県内で建築士の資格を持つ方全員に登録をしてもらうとのこと。また,今後は,アメリカのように完全なボランティアの体制を整えることが課題である,と言っております。東京都でも,今後,1万名くらいの判定士を組織化したいと,都市計画局では言っており,
防災ボランティアとして都と区の建築の専門家を養成したい,とのことであります。
二次災害を少なくするため,
立ち入り禁止の判定に法的強制力を実効するには,避難所,仮住居が確保されるということと,住民に納得してもらうこと,多くの条件が整うこと,難しさもあると思います。
本県では,今後,
建築物危険度判定士制度を組織化する考えがあるかどうか,お伺いをいたします。
一つ,今回の大震災で神戸港が壊滅的な被害を受けたことは,日本最大の海上輸送拠点である神戸港の
地盤沈下はもとより,日本の海上輸送にも暗い影を投げかけると同時に,今後の日本の港湾施設の
耐震施設整備にも問題を提起しております。神戸港の顔とも言うべき人工島
ポートアイランドの貨物船用埠頭では,接岸岸壁から構内まで陥没や亀裂でズタズタに,また,液状化で埠頭
地盤が流出して,深さ4.5メートルもの大規模な沈下が起きていたことが発見され,過去の震災では例を見ない,損壊はすべての埠頭に及び,液状化被害が目立ちました。新潟地震と比べても,岸壁の損害はけた違いに多く,今後,全国的に同様の埋め立て工法が行われている現在,見直しを迫られるわけであります。
最近では,海上空港誘致も含め,本格的な国際都市への飛躍を目指していた神戸も,観光名所の
メリケン波止場も,岸壁も水没し,特に海底の浚渫,砂を埋め立てた港湾部では流動しやすく,過去の地震でも1メートル前後の沈下が観測されておりますが,今回は,
ポートアイランド北部,中部埠頭の北岸壁も,幅5メートル,深さ2.5メーターから4.5メーターの溝が600メーター以上も続いているとのことであります。
六甲アイランド,
ポートアイランド両島の外周を支えるケーソンは,ほぼ全域にわたってずれたり,傾いて,岸壁が損壊,すき間から埋め立て土砂が流出していることがわかり,事実上,壊滅状態であり,両島の湾岸機能の回復,復興は,早くて3年はかかると言っております。両島は,
貨物取扱量日本一の神戸港のシンボルであり,事実,大型船が最高250隻も同時に停泊できるわけでありますが,現在は,わずか10カ所だけ使用可能であるが,救援物資の受け入れと,市民の県外脱出に使用しているだけ,とのことであります。
また,神戸の
臨海コンビナートでは,450基の石油タンクのうち約40%の165基が傾いたり,形が変形していることがわかりました。石油の流出を防ぐための
鉄筋コンクリート製防油堤も40カ所で引きちぎられた状態で,最大で30センチの亀裂ができた箇所もあり,石油が漏れ,二次災害を起こすおそれがあると,
市災害対策本部では,傾いた全タンクの油を抜き取るよう指導している,とのことであります。
また,同
コンビナートの大型タンクのうち90%は,現行法の耐震基準を満たしていない古いタイプで,タンクの傾いた原因は
地盤の液状化が原因,とのこと。今後,各地の
コンビナートでも耐震基準の見直しとともに,液状化対策が重要な課題になるわけであります。
本県も,188キロメートルの海岸を有し,波崎港より北茨城の平潟港までの漁港,
鹿島コンビナートを含む大洗,常陸那珂,日立港,すべての港湾の岸壁の耐震設計に甘さはないかどうか。今後の港湾の設備については,岸壁の耐震設計が問題であります。運輸省では,全国の接岸岸壁設備については,75年間にその地域で起き得るどんな地震にも耐えられることを
耐震設計基準としており,各港地域では,過去の地震などをもとに
耐震設計震度を採用しており,本県の港湾についても,今後,震度7を想定して見直すとすると,今までの港湾については,早急に補強工事の必要があるのではないかと思われます。
また,総点検の必要があると思いますが,お伺いをいたします。
一つ,
原子力発電施設の安全性について,村山総理は,安全神話はないのだから,安住することなく見直すべきところは見直すべきだ,と述べ,阪神大震災を教訓にして,原発の
耐震設計基準の改善を図る考えを表明しており,本県は,東海村14を中心に,大洗5,那珂湊1,那珂町3と,23の原子力施設があり,今日では施設周辺も人口が密集しております。
県でも,今日の大震災を踏まえて,県内の主要な原子力施設を対象に,地震,津波対策の再点検の結果を発表しました。動力炉核燃料開発事業団や,
日本原子力研究所などの22事業所に,耐震設計などの自己点検を求めたもので,その結果,県は対策が十分であることを確認したと言っております。調査は22事業所の 138施設について,地震対策,津波対策,大地震発生時の即応体制の3項目,地震対策では,
原子力委員会が決定した
耐震設計審査指針を満たしており,津波対策では,満潮時の津波の波高以上の地位に立地しており,影響はない,とのことであります。
原子力発電を含め,
原子力関係施設は,確かに潜在的な危険性は高いと思います。そこで,設計指針は,重要度すなわち危険度によって,A,B,Cの3クラスに分けられ,これに応じた耐震設計になっており,横揺れを中心にした動的地震力に対しては,建築基準法の耐震基準の3倍の地震に耐えられる設計,とのことであります。それに,万一の場合も,ある程度以上の地震を感知すると自動的に原子炉が止まるシステムになっており,専門家の多くも,大丈夫だろうという意見が多いわけですが,不安を指摘する専門家もいるわけであり,見直しを要求しているわけであります。
また,阪神大震災では安全神話が崩れてしまったわけであり,県民に不安があることは事実であります。これまでの知識だけに頼らず,一つひとつ厳重にチェック,調査,再検討をするように,既存の原発についても十分なチェックを願うものであります。なぜなら,原発は安全が至上命令であるからであります。県民の多くの人々は,余分なプルトニウムを出さないように,原発は人里離れたところに建て,1カ所に集中しないで,ほかの県にも,と言っており,不安や心配が多いわけであります。原発から出る
使用済み核燃料を再処理して,残った高
レベル放射性廃棄物の保管,青森県が処分地に選定されなくなった今日,本県に長く保管という不安,短期日にチェックもしないで,指導も調査もしないで,事業所の対策が十分であると認めてしまう
県原子力安全対策課に対する不安,さらに十分なチェックが必要と思うと同時に,県民が安心できるような対策,施策を,答弁をお願いいたします。
以上,7つの項目について,知事にお伺いをいたします。
第2番目,道路網の整備についてお伺いいたします。
一つ,本県の道路網は,圏央道の事業化と事業促進,東関道の区間ルートの選定,基本計画への格上げ,北関道の建設促進,整備計画への格上げ,6号国道を初め,おのおのの国道のバイパス化と整備,非常に躍動を感じるわけですが,阪神大震災により,多くの国道,高速道路のある兵庫県が,東西日本を結ぶ大動脈が寸断され,大型車の迂回により一般道が大渋滞,パニック状態,多くの混乱が起きております。空を除く
輸送交通システムを破壊した今日の大震災は,その影響を受ける貨客量は全国の3割以上と言われ,被災地だけでなく,本県にもじわじわと大きな波となり,全産業に影響が出てくるわけであります。
日本は,地震が起きることは避けられない運命にあります。橋も道路も,絶対という耐震構造物であり得ないとするならば,有事のときの防災対策は,分散,迂回の方法だけであります。ドイツのアウトバーンや,網の目道路は無理だとしても,本県の動脈を見ると,常磐道と国道6号線では心細い限りであります。早くも,
阪神防災ハイウエー構想を検討している兵庫県の例もあり,また,隣の千葉県千葉市は6本の大動脈があります。
本県でも,国道6号線の迂回路,1本は北関道より涸沼,百里の北を通り,石岡-土浦間は那珂導水の上部辺,圏央道と
ジャンクション利根川を渡る構想,2本目は,常陸那珂より涸沼の東側,鉾田,玉造,出島,阿見,同じく圏央道とは
ジャンクション龍ケ崎を通り利根川を渡る,以上の2路線の構想を県民は夢に描いていると思います。夢を実現させるのが政治であります。
そのような考え,構想は,知事にお伺いいたします。
一つ,土浦市周辺の国道,県道についてお伺いをいたします。
土浦市を通過する6号国道は非常に重要な道路でありますが,8.8キロメートルのうち4車線化されているのは3.8キロメートルであり,両取付口とも高架部は9年前と全く同じであります。125号線は,新治村,阿見町は完成し,供用開始をして,今日まで大分日数がたっておりますが,土浦市内は目に見えません。
次に,国道354号線についてでありますが,平成3年度から事業に着手,とのことですが,125号とドッキングする5.9キロメートルが完成しますと大分流れが変わります。また,4本の県道の整備についても,土木部長にあわせてお伺いをいたします。
一つ,都市計画道路についてお伺いをいたします。
土浦市には,現在,39本の都市計画道路が計画決定されておりますが,39路線の総延長が11万6,280メートルであり,整備率は,平成6年10月1日現在,30.53%であります。決定してから30年以上経過している路線もあり,有事のときに,都市計画道路をもっと早く進めていれば,というようなことにならないよう,県は土浦市に対し,都市計画道路の整備をどのように,今後,指導,協力していくのか,また,特に,土浦市から重点要望の出ている荒川沖木田余線の整備,土浦新治線の整備についてはどのように進められるか,土木部長にお伺いをいたします。
以上で,第1回目の質問を終わります。
答弁によりましては再質問をさせていただきます。(拍手)
7 ◯議長(小川栄次郎君) 池田有弘君の質問,質疑に対する答弁を求めます。知事橋本昌君。
〔知事橋本昌君登壇〕
8 ◯知事(橋本昌君) 池田有宏議員の御質問にお答えいたします。
まず,高速道路や鉄道,災害時の重要拠点となる建築物などの補強対策についてでございますが,議員御指摘のとおり,今回の阪神・淡路大震災におきましては,耐震性が高いと言われてきた公共の構造物や施設にも大きな被害が見られたところであります。
また,一方では,地震後の被災者の救助活動や避難場所としまして,学校などの公共施設が大変重要な役割を果たしているところでもございます。
これらの観点から,県内の既存公共施設等の点検や補強対策につきましては,早急に取り組むべき課題であると認識しております。
国におきましては,既に,道路橋震災対策委員会や鉄道施設耐震構造検討委員会,あるいは官公庁施設に関します総合耐震計画標準検討委員会などを設置しまして,阪神・淡路大震災の被害調査,分析等を行い,耐震基準の見直しや既存施設の補強等について具体的な対応策が検討されているところであります。
県といたしましても,こうした国の検討結果を踏まえまして,各種施設の補強対策を実施していく考えでありますが,特に南関東地域直下の地震対策に関する大綱に指定されております県南西部地域の30市町村におきましては,平成3年度の震災点検に基づきます82カ所の橋梁につきまして,計画を前倒しをいたしまして,平成7年度内に補強工事を完了することといたしております。
さらに,宮城県沖地震を契機に建築基準法の設計基準が改正されました,昭和56年以前の県有建築物を対象とします耐震診断を平成7年度から実施いたしますとともに,この調査結果に基づく補強方法等についても検討してまいりたいと存じます。
次に,
ライフラインの対策についてでございますが,県といたしましては,
南関東直下型地震に備え,従来から,
ライフライン関係機関や市町村との会議におきまして,災害発生時の応急対応,復旧等に関して,協議,検討を行ってきております。
また,毎年実施しております防災訓練におきましては,ガス,電力,水道関係機関などの参加を得まして,電柱の立て直し,緊急送電,損壊したガス管・水道管の応急復旧などの訓練を実施しているところでございます。
これに加え,各関係機関におきましても,それぞれ独自で復旧等の訓練を実施しておりますほか,各市町村が行う防災訓練にも参加していただいておるところであります。
しかし,今回の阪神・淡路大震災は予想をはるかに超えたものであり,これらを教訓として,先般開催いたしました防災会議におきましては,震災対策の基本的な考え方及び緊急に整備すべき事項を定め,
ライフライン関係機関に対し,予防対策や広域的な相互の協力体制の確立などを含めたそれぞれの計画の見直しについて要請を行ったところでございます。
こうした中で,各関係機関におかれましては,電線の地中埋設化,水道管の継ぎ目の離脱防止装置の取り付け,家庭向けガスマイコンメーターの設置,及び継ぎ手部材の強化,電話回線ケーブルの不燃化対策の実施などを中心に,予防対策を進めていただいておるところであります。
今後とも,災害に強い県土づくりの視点から,関係機関と連携をとりながら,
ライフライン対策に万全を期してまいりたいと考えております。
次に,緊急時における医療体制の確保と医薬品の備蓄について,お答えいたします。
まず,緊急時における医療体制の確保についてでございますが,本県の
地域防災計画では,災害で地域の医療機関が機能しなくなった場合には,県や日赤県支部が組織する医療救護班のほか,国立病院や医師会など関係者の協力を得て,医療体制の確保を図ることとしております。
しかしながら,このたびの阪神・淡路大震災のような広域的な災害におきましては,
地域防災計画そのものがうまく機能せず,議員御指摘のような多くの理由により,住民に対する医療救護活動が十分に実施できなかったところであります。
そこで,本県といたしましては,平成7年度に
ライフラインが途切れた場合にも救急医療機関の病院機能が維持できますよう,通信手段を確保するための携帯電話の配備,及び病院の自家発電能力の増強や災害用井戸の掘削などに対し助成措置を講じますとともに,緊急時においては保健所が医療機関との連携の中枢的機能を担うという経験に照らし,保健所に自家発電設備を設置することとしたところであります。
今後,災害時における医療供給体制について,医師会など関係団体や救急医療の専門家で組織する検討委員会を設け,阪神・淡路大震災で明らかになった問題点について詳しく検討を行い,
地域防災計画をより具体的にした災害時救急医療活動マニュアルを策定することにより,緊急時におきましても対応できる,迅速かつ適切な医療供給体制の整備を目指してまいりたいと考えております。
また,医薬品の備蓄体制でございますが,現在,県医薬品卸業組合と委託契約を締結いたしまして,県内31カ所におきまして109品目の医薬品,例えば抗生物質約6万錠などを流通備蓄しておるところでございます。
このたびの大震災におきましては,医療機関における医薬品在庫量の不足や医療機関への迅速な配送体制の不備,あるいは医薬品保管倉庫の耐震化などが指摘されておりますので,平成7年度は,医薬品備蓄施設の耐震化に助成措置を講じてまいりますとともに,備蓄医薬品の品目,数量の見直しや災害時の配送システムについて検討してまいりたいと考えております。
次に,防災公園の整備についてでございますが,防災公園とは,市街地における大地震等の災害から人々の生命を守る避難地などの機能を持った都市公園であり,面積10ヘクタール以上など幾つかの要件が定められているところでございます。県におきましては,防災公園として,偕楽園公園や堀原運動公園の整備を進めております。
なお,南関東地域直下の地震対策に関する大綱が定める県南西部地域の30市町村におきましては,防災公園として指定は受けておりませんが,土浦市の乙戸沼公園,つくば市の洞峰公園など4公園を,避難地としての機能を持つ都市公園として整備しておるところでございます。
また,県の平成7年度予算には,震災関連として約38億円を計上いたしましたが,その中でつくば市の洞峰公園につきましては,自家発電給水施設の整備を計画しております。
御案内のように,今回の阪神・淡路大震災を踏まえ,国におきましては,防災公園の機能を強化するため,都市公園内に食料の備蓄倉庫や
耐震性貯水槽などを国の補助事業として整備することなどについても,検討を進めております。
本県におきましては,今後とも人口増加が著しい県南地域を中心に,国の動向を見ながら市町村と協力して,防災公園の可能性を積極的に検討してまいりますとともに,一方で,防災機能を強化した都市公園の整備を推進してまいりたいと存じます。
なお,都市公園以外の学校や農村空間を活用した公園,河川空間などの公共空地についても,避難地としての整備を進めてまいります。
次に,被災建築物に係る応急
危険度判定士制度の導入についてお答えいたします。
この制度は,一級建築士などの専門家が,地震による被災建築物の安全性を応急的に判定することにより,地震後の居住場所の確保や二次災害の防止などの面で重要な役割を担うものであります。
さきの阪神・淡路大震災に際しましては,急遽,本県からも延べ 105名の職員を,尼崎,西宮,芦屋の3市に派遣いたしまして,2,170棟の判定を行っております。平成7年度には,それらの経験を生かし,判定士候補者のリストアップや連絡,動員体制などの整備,あわせて,講習会の実施方法や制度の推進母体の検討を具体的に行ってまいりたいと考えております。
県といたしましては,応急
危険度判定士制度の本格導入につきまして,地震対策関連の重要な施策として位置づけておるところでございまして,国の震後対策連絡会議や先進県で行われている判定士養成訓練に職員を派遣するなど,情報の収集などに努めております。
制度化に当たりましては,判定士に対する補償制度や広域的な協力体制の確立,さらには,議員御指摘のとおり,個人財産に使用制限を加える際の法的根拠の整備などさまざまな課題がございますので,国など関係機関と緊密な連携を図りながら,応急
危険度判定士制度の早期導入に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に,本県港湾における地震対策についてでありますが,港湾施設の整備に当たりましては,国の定める技術基準に基づいて所要の耐震性を確保してきたところであります。
今後,
南関東直下型地震等の大規模な地震が発生した場合に,港湾施設が大きな被害を受けることのないように,十分な耐震性を有する施設を整備していくことが重要であります。阪神・淡路大震災では港湾施設が壊滅的な被害を受けたところであり,運輸省では専門委員会を設けて,設計震度の見直しや港湾施設の耐震構造のあり方などについて検討を進めております。
県におきましても,平成7年度に,とりあえず,港湾施設の総点検や公共埠頭の地質調査などを行い,その結果及び国の検討状況をも踏まえながら,液状化対策や耐震岸壁の整備など,大規模地震への対策を進めてまいります。
次に,原子力に対する県民の不安解消についてであります。
東海・大洗地区には数多くの原子力施設が立地しておりますので,県といたしましては,環境や住民の健康にいささかの影響も与えてはならないという立場から,万が一にも放射能が外部へ漏れることのないよう,常に監視,チェック,指導などを行い,原子力施設の安全に万全を期しているところでございます。
原子力施設は,多重防護の思想のもとに,幾重にも安全対策を講じております。安全確保上,重要な建物,設備につきましては,頑丈な構造とした上,岩盤の上に直接建設することにより,考えられる最大の地震でも,施設の安全性,信頼性が確保されるよう設計され,さらに実証試験によって確認されております。
東海村の原子力発電所を例にとりますと,原子炉内部の大量の放射能を閉じ込めるための原子炉圧力容器や放射能を含んだ冷却水の配管類につきましては,実物,あるいは実物の2分の1のモデルを,実際に大型の振動台に載せて振動試験を行い,耐震性の確認を行っております。
次に,震災対策についてお尋ねいたします。
去る1月17日未明に起きました阪神・淡路大震災において不幸にして亡くなられた方々の御冥福と,被災者の皆様の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
さて,この震災では,多くの建物の損壊などにより5,400名を超えるとうとい人命が失われ,そのうち圧死者が実に9割に達するという未曾有の大惨事となりました。
私は,先月の21日と22日にかけて,友人のお見舞いと震災の実態を知りたいとの思いから神戸を訪れ,震度7の直下型地震の現状にただただ唖然とした一人であります。その後,友人を交え,現地の方々から震災に関する御意見等を種々伺える貴重な機会を得たのであります。
今回の震災のすさまじさがそうさせたと言えましょうが,行政サイドでの,住民への広報を含めた情報の収集,分析,連絡に手間取ったことの反省が,今なおなされております。
このような中で,現地の方が特に訴えていたことは,まず,現場の状況を指揮者がいち早く掌握すること,次に,水をすぐに供給すること,そして,被災がひどい場合は,当該自治体職員も被災者であり,速やかに他の自治体からの援助を仰ぐことなどでありました。
今回の震災を教訓とすべきことは極めて多く,これらを決してむだにしてはならないと胸に深く刻んで,帰途についたのであります。
以上を踏まえ,震災対策に関連し,次の3点についてお尋ねいたします。
1つは,震災発生時の迅速,的確な初動体制の確立について。
2つは,今回,行政の手の回らない部分の大きな手助けとなったボランティアの活動環境の整備について。
3つには,震災の被害を軽減させる予防対策などについてであります。
まず,第1点目の初動体制についてであります。
この初動体制とは,第1に,防災関係職員が防災計画に基づいて速やかに業務につき,指揮命令系統が確保されること,第2に,被災状況が迅速,的確に把握されること,第3に,関係機関相互の通信連絡手段が十分確保されることであると思います。
具体的に申し上げますと,他県等の事例では,防災関係職員を庁舎から歩いて15分以内に住まわせるというような対応をしているところもありますので,本県におきましても,何らかの対応がなされるべきだと思います。
また,もし職制の一部が欠けるような場合は,あらかじめ定めた順位により,効果的な職務指揮がとれるような体制を確立する必要があると考えます。
さらに,震災時にも十分機能する通信システムの確保を図るとともに,被災現場の把握につきましても,防災ヘリ等を機動的に活用できるよう,あらかじめマニュアル等を整備しておくべきではないでしょうか。
また,本県の防災行政無線は,施設整備後,はや10年を経過しておりますが,新県庁舎建設に当たり,スーパーバード衛星を利用した通信システムの二重化などの対策も必要なのではないでしょうか。
このような体制が整わなければ,災害対策本部の速やかな設置や自衛隊への的確な出動要請に加え,住民への避難勧告や誘導等も,しょせんうまくいくはずがないと思います。
そこで,防災関係職員の緊急動員体制の確保や,防災関係機関の通信連絡システムの充実とあわせて,住民への広報の徹底方策について,生活環境部長にお伺いいたします。
第2点目といたしましては,ボランティアの活動環境の整備についてであります。
御承知のとおり,今回の震災では,全国から自然発生的に延べ何万人という数のボランティアが被災地に赴き,頼もしく活躍されております。そして,これを契機に,ボランティアの社会的な役割や重要性が,被災地はもちろん,全国で再評価されました。
最近の資料によりますと,ある程度継続的にボランティア活動を行っている人は,全国で 450万人前後と言われております。
しかし,その活動中に事故に遭遇した場合の公的な補償体制は,残念ながら未整備となっております。また,この種の民間の保険はありましても,一般の保険と同様,自然災害に伴う事故には適用されないと聞いております。
このようなことから,こうした善意を支え,発展させる観点から,例えばボランティア基金などにより,その益金から掛金を全額負担するような制度が早急に求められるべきではないかと考えるものであります。
そこで,特に震災時には二次災害もあり得るわけですが,ボランティア活動中の自然災害にも適用される,県独自の補償制度を創設すべきだと思いますが,福祉部長の御所見をお伺いいたします。
また,本来,ボランティア活動は人から強制されて行うものではありませんが,震災のような非常時の場合では,現地がさまざまな点でパニック状態での活動となりますので,事前の準備により,善意を十分生かすためにも,統率がとれるようにすべきであると思います。
現地でも,いろいろな面での行政との連携が必要である点が指摘されております。
つまり,一定規模以上のボランティアの人たちが,他地域での支援活動が組織的でスムーズにできるよう,専門分野ごとの区分等も考慮して登録していただき,行政との連携を密にする必要があると思います。
また,このたびの震災では,県や市,それに,町の職員も被災しているのであります。したがいまして,現在も,被災地へは全国の自治体から多くの職員が,行政や職員団体のボランティアという形で派遣されております。
しかし,原則としては,むしろ他地域への派遣を想定し,行政の職員が日ごろ知り得た知識経験やノウハウを生かし,十分活動できるように配慮すべきであると思います。
以上を踏まえ,これらを何らかの形で制度化すべきではないでしょうか。この提言も,現地での声を踏まえてのことであります。
そこで,震災ボランティアの一般からの登録と,本県でも,ボランティア派遣のための制度や体制について検討する必要があると思いますが,福祉部長並びに総務部長に御所見をお伺いいたします。
第3点といたしましては,震災の被害を軽減させるためのいわば予防対策などであります。
今回の震災では,約20万軒を超える居住家屋に被害を受け,このため先ほど申し上げましたとおり,死亡者の約9割は家屋倒壊やタンスの下敷きによる圧死者であると報道されております。その主な原因としては,耐震性を失ったか,耐震性が低い木造老朽家屋が多かったためであります。
また,火災は,家屋倒壊の際に,石油ストーブが直前に自動消火していたにもかかわらず,その余熱からも発生いたしました。
さらに,広範囲に延焼したのは家屋が密集していたためでもあり,神戸市では,これからのまちづくりに,防災道路や街区公園として教訓を生かすとのことであります。
したがって,本来,個人の財産には行政が関与すべき筋合いでないことは,私も重々承知しておりますが,都市防災の強化という新たな見地から,また,他人に累を及ぼさないためにも,住宅密集地の危険度の高い老朽家屋を中心に建て替えや補強が進められなければならないと考えるものであります。
このためには,一般家屋の強度がある程度わかる耐震性自己診断マニュアル等を作成,配布したり,住宅建設への融資制度の拡充を図るべきではないでしょうか。
そこで,県内の南関東直下地震の指定区域内での直下地震発生の際,倒壊のおそれが高い建築物等にはどのような対応を考えておられるのか,土木部長にお伺いいたします。
また,今回は,かなりの工場の設備や店舗も損壊したため,自宅の被災のみならず,職場も被災し職を失うという二重三重の苦難に襲われた方々も少なくありません。このようなことから,中小企業は,これまでの技術力や経営力の向上に加え,強い地震が起きても生産設備や店舗の損壊を最小限にとどめる対策が必要となっております。
さらに,被災者の中には,事業所との明確な雇用契約がなかったり,図らずも雇用保険の掛金を納付していなかったために,失業に伴う十分な補償が受けられないという事例も間々あることが,先日報じられておりました。このようなことは,本来は,震災対策以前の問題であり,あってはならないことであります。
そこで,中小企業の震災対策への支援について,また,雇用関係の明確化等に向けて,今後,どのように支援,指導をされるお考えをお持ちになっておられるのか,商工労働部長にお伺いいたします。
次に,取手市を中心とする県南地域振興策についてお尋ねいたします。
県南地域と申しましても,北は石岡市から,南は取手市までと,大変広範囲な地域であります。その中でも,特に取手市を中心とする利根川沿岸地域につきましては,県の地域振興策を感じさせるプランと言えるものが皆無と言ってよいほどしかございません。
私は,総務企画委員会において,そのことを念頭に置き,これまで地域振興策と行政改革の観点から,全県的に,県有地と県有施設の見直しや再有効利用につきまして推進方をお願いしてまいりました。それは,現在ある県有施設はその必要に応じて設置したものであり,県民にとりましては大いに役立ち,利用されてきたところであります。
しかしながら,これらの県有施設の一部は,残念ながら,時代の流れとともに存在意義が薄れてきているものも数多くあります。また,組織の統廃合や市町村の事業等により,建て替えや移転を余儀なくされる施設も出てきております。このような場合は,市町村の意向を最優先し,その意見を十分取り入れた土地や施設の利用を図るべきだと訴えてまいりました。
具体的な例を挙げますと,茨城県の南の玄関口に位置する取手駅の西口を中心とする再開発事業地内にある財団法人茨城県教育財団所有の学生寮と,県消費生活センターの用地を,県と市が相協力して,県民はもとより,隣接する千葉県からも人を呼び込めるような複合施設をつくるべきだと考えております。
そのためには,つくばの国際性や科学技術の力と,取手の東京芸大第2キャンパスを中心とした芸術性を一体化させるとともに,現在,守谷町に計画されているアーカス構想や,常磐新線の建設とあわせて,取手周辺地域を,国際,芸術,文化,科学の交流拠点として新県計画の中に位置づけを行うことが必要であると考えます。
取手駅西口に,多目的な音楽ホールや,県民の作品を展示する美術館などの芸術ランド,身近なサイエンスを感じさせる科学ランド,情操教育を考えた子供ランドや,茨城県をPRする茨城ランド等を備えた施設を整備し,その1階,2階を憩いの広場とするように,幅広い内容を持つ文化施設を建設すべきだと思います。
また,利根川,小貝川に挟まれた自然環境を生かし,青少年の国際交流を目的とした宿泊研修施設を設置することも,国際的な視野を持つ青少年を育てるという面で大いに役立つものであると考えます。
しかしながら,このような多くの機能をあわせ持つ文化施設をつくっていくためには,市,県とも,窓口が多岐にわたるため,調整に多大な労力と時間を要すると考えます。しかし,このプロジェクトは,県の地域振興と行政改革の観点からも,また,今後の茨城県の玄関口の浮沈にかかわる重要な問題でありますので,ぜひとも市と県が協力しつつ,なし遂げていただくようお願いいたします。
以上,取手市を中心とする利根川沿岸地域における地域振興策について私の考えを述べさせていただきましたが,企画部長の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
最後の質問でございます。
人材育成基金の創設などについて御提言申し上げます。
私にとりまして,人材育成といいますと,これまでの県の施策では,産業の活性化,あるいは地場産業の育成にどう対応していくかという観点での,いわゆる産業人の育成という印象を強く持っております。
しかしながら,これからは,芸術や文化,スポーツなどの幅広い人づくりを地域全体で担うような環境を整え,優秀な人材を発掘,育成することが肝要であると思います。
今後は,人材育成面でのすそ野を広げるということにとどまらず,より積極的に,国内はもちろん,世界に通用する逸材を育成することが必要であると考えるものであります。
例えば,近年では,陶芸で人間国宝となられた松井康成さん,世界のオペラ歌手の仲間入りをされた中丸美千繪さん,鹿島の名を全国に知らしめたアントラーズといった例を見ましても,私たち県民をわくわくさせ,同じ郷土を持つ者としての誇りを感じさせたり,また,他県に対しては本県のイメージを格段に高め,さらには,経済的な波及効果を生み出すことさえあることは,皆様既に御案内のとおりであります。
もちろん,一口に人材育成と申しましても,芸術やスポーツ面での育成には多くの時間とすぐれた指導者が必要となってまいります。
私は,このような観点から,本県の青少年の中から人材を発掘し,各種大会への参加費用や海外への渡航費用などに対して援助をする制度が必要であると考えます。
具体的には,芸術,スポーツの将来を担う本県の人材を育成確保するため,既存類似の基金である支援対象を拡充するか,新たに,県と民間との共同で基金を造成し,審査委員会を組織し,その審査を経た上で,基金の運用益から一定額の給付や融資を行うなどの制度を創設してはどうかと思うのであります。
そこで,芸術,スポーツの分野における本県の人材育成について,教育の場を中心として,どのように発掘,育成していくお考えをお持ちになっているのか,また,人材育成に向けて既存の基金を活用することや,あるいは新設するお考えをお持ちになっておられるのか,教育長にお伺いいたします。
さらに,いばらき文化振興基金の趣旨,現在の対応状況及び今後の対応について,生活環境部長の御所見をお伺いいたします。
以上,私の考え,提言を含めて御質問いたしましたが,時間が1分超過をいたしましたので,執行部の簡潔また誠意を持った御答弁をお願い申し上げて,質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
30 ◯副議長(粕田良一君) 鶴岡正彦君の質問,質疑に対する答弁を求めます。知事橋本昌君。
〔知事橋本昌君登壇〕
31 ◯知事(橋本昌君) 鶴岡正彦議員の御質問にお答えいたします。
まず,将来的な県税収入の見通しについてのお尋ねでございます。
議員御指摘のとおり,バブル経済の崩壊による産業構造の変化や,円高に伴う産業の空洞化が進展しております。これら社会構造の変化や景気の動向によりまして県税収入は大きく影響を受けることはもちろん,税制改正いかんによりましては税収の構成さえ変化しかねないものであり,その正確な額を見通すことは極めて困難であります。
しかしながら,せっかくの御質問でありますので,不透明な要因が極めて多い中で,あえてお答え申し上げたいと思います。
現在の景気の状況を見ますと,バブル経済崩壊後の調整局面を脱し,緩やかながら回復傾向が見られておりますし,日本経済は,これまでもオイルショックや円高不況など数々の試練を乗り越え,成長を続けてまいりましたことから,中・長期的には円高や空洞化といった諸問題を克服し,安定した成長過程に移っていくものと確信しております。
そのような中,本県は,首都圏と隣接し,平坦で広大な県土を有し,さらには,港湾や高速交通網の整備が進んでおりますことから,将来の発展性を十分見込むことができますので,日本経済を上回る成長が可能と考えております。このため,県税収入につきましても,ある程度の伸びを確保できるものと考えておりますが,各年度の県税収入の見込みに当たりましては,経済状況の変化や景気の動向に細心の注意を払い,的確な積算を行い,入るを図って出るを制す財政運営に努めてまいりたいと考えております。
次に,社会経済の変化,とりわけ産業構造の変化に対応する施策についてのお尋ねでございます。
ただいま申し上げましたように,我が国の経済は中・長期的には安定した成長期を迎えることが予想されますが,そのような状況下において,本県経済が着実に成長してまいりますためにも,本県の有する優位性をバネに,その産業構造を積極的に展開していく必要がございます。
このため,新年度の予算におきましては,例えば新しい産業,あるいは付加価値の高い創造的な産業の育成に取り組んでいくことといたしました。
すなわち,これからの本県の発展を支える基盤づくりとして,本社または製品開発機能を持っている工場,俗にマザー工場と言われておりますが,これを積極的に誘致して,産業構造の転換を図るマザー工場立地促進事業や,本県の中小企業の質的転換を図るため,中小企業者が,新技術,新製品開発に取り組んで,新たな事業展開を図れますよう,創業活動支援融資や新製品等開発支援事業などの融資制度や助成制度を新設いたしましたほか,下請中小企業者の企画力,設計力を強化する支援体制を整備してまいります。
さらに,本県産業の新分野への展開可能性と方策を検討するため,21世紀新産業振興プログラムを策定してまいります。
以上のような施策を積極的に進めてまいりますとともに,経済の動向には十分に留意をいたしまして,適切な対応をしてまいりたいと存じます。
次に,基金運用の基本的な考え方についてのお尋ねでございます。
基金は,それぞれの事業の目的に応じて必要な資金を積み立てておるものであり,必ずしも収益を目的にしているものばかりではございませんが,基金につきましては,最も確実かつ有利な方法により運用されるべきものであると考えております。
本県におきましても,従来から,この旨を基本に取り扱ってまいったところでございますが,御指摘の点を踏まえ,さらに検討を加え,適切な運用を図ってまいりたいと存じます。
なお,せっかく御提言をいただいたところでありますので,基金の効率的運用の方策につきまして,今後,出納長ともども勉強してまいりたいと存じます。
次に,地方分権を推進するに当たりましての市町村の一般財源の充実強化についてであります。
地方分権の推進は,ますますその重要性を増してきており,そのためには,議員御指摘のとおり,権限の委譲にあわせて,地方税,地方交付税など,市町村が住民福祉の増進のために自由に使うことのできる一般財源の充実強化は必要不可欠であると考えております。
これまで,県におきましても地方関係6団体と連携しながら,一般財源の確保に向けて,国に強く働きかけを行ってきたところであります。
その結果,例えば自治体の課税権の強化という観点から申し上げれば,新たに地方消費税が創設されたところでありますし,さらに,国庫補助負担金の一般財源化も強く推進されるなど,地方財源の充実強化の方向に進んできているものと考えております。
ただ,その歩みは遅く,内容も必ずしも満足のいくものでないことは御指摘のとおりであります。そのため,このたび国会に提出された地方分権推進法案におきましては,国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保が特に明記されているところでございます。
県といたしましては,今後とも,地方分権の一層の推進を図るため,地方税の充実強化や地方交付税の安定的な確保など,市町村の一般財源の充実強化に向けて,引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
続いて,市町村に対する県の財政支援についてであります。
平成7年度の市町村振興資金貸付金につきましては,市町村からの強い要望も踏まえまして,貸付枠を36億円に増額し,市町村に対する財政支援をより一層充実強化することといたしております。
また,市町村振興補助金につきましては,平成5年度に創設いたしたものでございますが,市町村からの要望や事業の実績を踏まえながら,実効性のある振興補助金のあり方についてさらに検討を重ねまして,今後とも有効な活用が図られるよう配慮してまいりたいと考えております。
次に,新たな市町村への財政支援策についてであります。
今回,快適で質の高い生活環境の一層の整備促進を図るため,生活関連市町村道緊急整備費補助につきまして,事業限度額や対象市町村について大幅な拡充を行うこととしているところでありますが,これらを初めとして,県の行政目的を推進するのに必要な県補助金につきましては,今後とも積極的な予算化を図り,市町村財政の充実強化に資することとしてまいりたいと考えております。
32 ◯副議長(粕田良一君) 出納長角田芳夫君。
〔出納長角田芳夫君登壇〕
33 ◯出納長(角田芳夫君) 資金管理の一元化についての御質問にお答えをいたします。
出納長の保管をいたします資金には,御承知のように,歳計現金と基金がございますが,このうち歳計現金は,支払準備資金として支払いに即応できるよう管理しなければならない資金であります。このため,運用に当たりましては,資金計画をもとに,余裕資金の額や運用期間を考慮いたしますとともに,金利状況等を的確に把握しながら,大口定期預金,外貨預金など,運用時点で最も有利な金融商品を活用いたしまして,運用を図っているところでございます。
一方,基金につきましては,例えば財政調整基金や土地開発基金のように,それぞれ特定の目的に応じて設置されているものでありますが,運用の面からだけですと,歳計現金に比較いたしまして長期の運用が可能な資金であります。したがいまして,運用に当たりましては,各基金の担当部局と十分協議しながら,金利の有利な大口定期預金を活用いたしまして,効率的な運用を図っているところであります。
このように,歳計現金と基金とは,資金としての性格などを異にいたしますことから,一括しての運用は難しいものでありますが,基金の運用に当たりましては,御提言のスケールメリット等のこともありますので,先ほど知事からお答え申しましたように,より効率的な運用について今後積極的に検討してまいりたいと考えております。